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【書評】仁義なきキリスト教史

 

仁義なきキリスト教史

仁義なきキリスト教史

 

  キリスト教の歴史…それは内部抗争の歴史。

 キリストの磔刑、初期協会の分裂、カノッサの屈辱に見る叙任権抗争、なぜか同じキリスト教徒の街を攻撃した、第4回十字軍、無神論を掲げる共産主義への敵視から行ったナチスへの協力…
 膨大なキリスト教史の中から「抗争」や「戦争」に焦点を当てた書籍。
 なんといっても特徴は、イエス・キリストはじめ、主だった登場人物が広島弁(正確には福山弁)を操る「ヤクザ」であることだろう。
 だが、これが血塗られたキリスト教史(キリストが磔刑に処されるている時点からそう言っても間違いではないと思う)にしっくりくる。なにより、聖書を通り一遍読んでいるだけでは頭に入りにくい固有名詞がイメージしやすくなっている。
 著者自身「一般的な説よりエンターテイメントを優先した部分がある」と後で述べているので、まるまる鵜呑みにするのはアレとしても、興味を持たせる入門書としては十分と考えられる。

<感想>
キリスト教×広島弁の取り合わせに目を惹かれ、読了。メインはカトリックで、「抗争」や「戦争」に焦点が当てられているので、エピソードの偏りはもちろんある。が、それを補ってあまりあるインパクト。アマゾンの好評価もうなずけた。 
 「愛と平等」を謳っているはずの宗教が引き起こすもうひとつの側面が明らかになる。